資料
01年6月7日から9日まで、教科書問題に関する要請のため
「日本の歴史教科書要請のための忠清南道熊本訪問団」が訪日しました。
熊本県と姉妹提携を結んでいる韓国忠清南道の市民代表団です。
来日したのは、忠清南道の学会、市民団体、宗教界、教育界、農民、マスコミ等の代表者。
熊本県教育委員会に出した「要望書」を関係者の方が送ってくださいましたので、
当サイトに転載させていただくことにしました。
要望書
熊本県教育委員会御中
貴委員会におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
私たちは、熊本県と久しく姉妹提携を結んでいるお隣の国，韓国忠清南道の各階各層市民社会団体を代表して、歴史教科書問題にたいする忠清南道々民の願いをお伝えするために、貴県を訪問をいたしました。
去る３月、日本政府は、「新しい歴史教科書をつくる会」が申請した教科書を含めた８社の中学校歴史教科書を検定通過させました。検定で通過した教科書に対して、韓国々民は、一部の内容は修正補完されたけれども、依然として、事実関係が正しく記述されていないと考えています。いうならば、一つの歴史的事実にたいして、多面的な見方をしなければならないのに、加害者である日本は、自国に都合の良いところだけを「事実」としてとりあげ、被害者の訴えには、耳もかさないと言う状況にあると思われます。
わが政府が、日本政府に伝えた日本の歴史教科書再修正要求だけでも、３５カ所にのぼります。このような教科書内容は、日本政府が、過去の歴史に対し、韓国国民に過ちを認め反省した内容まで否認し、過去だけではなく、現在と未来の歴史まで退行させているという憂慮の原因となっています。
「歴史教科書問題」は、過去をふまえて、国際社会の一員として、日本と友好関係を維持することを願っていた韓国々民に、忘れてしまいたい古傷を傷つけ、またもや苦痛を与えてしまうことになりました。そのため韓国々民にとっては、日本が、過去の侵略の歴史を正当化していることによって、苦痛の過去が呼び覚まされ、未来の両国関係に対して、憂慮と警戒心を持たざるをえなくなったのです。
忠清南道道民にとって、熊本県民のみなさまは、すでに１８年間も姉妹提携を重ね、友好関係を築いた印象の深いとても近いおとなりとして、こころに刻まれています。
私たちは、ながい両地域の友好関係が、後世まで、末永く引き継がれていくことをこころから願っております。しかしながら、日本から受けた「被害」の歴史を苦痛に思っている韓国の青少年達と、歴史的事実さえも知らず、「加害」は正当であり、たいしたことではないと考える日本の青少年達が、出会う時、一方の韓国の青少年達は、おのずから憂慮と警戒心，脅威をいだかざるをえないでしょう。
熊本県教育委員会委員の皆様！
育ちゆく両国地域学生達が、過去の苦痛の歴史をふまえて、平和を愛する善良な隣人として成長するように、どうか手をさしのべてください。他国のものが、歴史教科書の内容まで、関与することを内政干渉とお考えになるまえに、過去の侵略の中で、苦痛を受けた「被害者」の立場にたつ思いやりのこころで、新しい歴史教科書の内容を、今一度冷静に見つめてほしいのです。
そして、おとなりの韓国忠清南道々民とともに、アジアと世界の平和，共存の未来のために、「被害者」の立場を考慮しない教科書が採択されないよう賢明な判断を切に願うものです。
私たちは、「歴史教科書問題」で、これ以上、韓日地域間の心の溝が深まり、育ちゆく子供達が、不安な未来に生きてゆくことを願いません。
もう一度、貴委員会のご発展を願い、雨が降り地がかたまるように、「歴史教科書問題」が賢明に解決され、両国地域間の協力と友好関係をより厚くする契機になることをこころから祈念いたします。
２００１年６月７日
日本の歴史教科書要請のための忠清南道熊本訪問団
・参与自治大田忠南地域運動連帯
（公州サラン市民団体協議会．唐津参与自治市民連帯．大田参与自治市民連帯．新しい泰安をきりひらく郡民の会．牙山市民の会．燕岐サラン市民の会．禮山住民連帯．天安市民フォーララム．大田儒城民主自治市民の会．清陽フォーラム）
・全国教職員労働組合忠南支部
（錦山支会．燕岐支会．論山支会．清陽支会．公州支会．扶余支会．舒川支会．保領支会．天安支会．牙山支会．礼山支会．洪城支会．瑞山支会．泰安支会．唐津支会）
・全国農民会忠南道連盟
（燕岐農民会．論山農民会．青陽農民会．公州農民会．扶余農民会．舒川農民会．保領農民会．天安農民会．牙山農民会．禮山農民会．洪城農民会．瑞山農民会．唐津農民会）
・忠南教育研究所
お隣の国から熊本県民のみなさまに望むこと（熊本県での記者会見文）
平和と共存の未来のために、ともにあゆみましょう
アンニョンハシムニカ
私たちは、熊本県と久しく姉妹提携を結んでいるおとなりの国，韓国忠清南道の道民代表です。このように、みなさんとお近づきになり、お会いできたことを心からうれしく思います。
今回、私達は、みなさんとともに、今日の韓日地域間における真の友好と平和共存のために、「日本中学校歴史教科書問題」に、対する忠清南道々民の願いをお伝えしようと、このようにはせ参じてまいりました。
去る３月、日本政府は、「新しい歴史教科書をつくる会」の申請した教科書を含めた８社の中学校歴史教科書を検定で通過させました。検定で、通過した教科書に対して、韓国国民は、一部の内容は修正補完されたけれども、依然として、事実関係が正しく記述されていないと考えています。
わが民族は、過去において、日本軍国主義の侵略により、耐えがたい苦痛を受けました。しかし、新しい歴史教科書は、日本の侵略を合理化しているばかりか、「従軍慰安婦」など、日本が韓国やアジアの国々に与えた被害を隠蔽した内容となっています。私たちの政府が、日本政府に伝えた歪曲された教科書の再修正要求だけでも３５カ所にのぼります。このため、「教科書問題」は、過去をふまえて、国際社会の一員として、友好関係を維持することを願っていた韓国国民たちに、癒えようとする古傷をほじくりかえされたような反日感情を呼び覚ましてしまいました。このように韓国では、日本が過去の侵略の歴史を正当化する教科書を検定通過させたため、苦痛の歴史を再び思い浮かべることとなり、未来にたいして不安と憂慮をいだくようになりました。
熊本県民の皆様！
私たちは、両国の幼き子供達が、戦争の惨禍を被ることなく、となりどおしで、平和におつきあいできることを心から痛切に願っております。しかしながら、日本から受けた「被害」の歴史を苦痛に思っている韓国の青少年たちと、歴史的事実さえも知らず、「加害」は正当であり、たいしたことではないと考える日本の青少年たちが、出会う時、一方の韓国の青少年たちは、おのずから憂慮と警戒心と脅威をいだかざるをえないのです。これではたして、ほんとうの和解と共存の未来を期待できるでしょうか。
平和を愛する熊本県民のみなさん！
どうか、未来を担う両国の青少年たちが、過去の苦痛の歴史をふまえて、平和を愛するこころをもった人間として、成長するようにみちびいてください。みなさまに、他国のものが、歴史教科書の内容まで、関与することを内政干渉と考えられるまえに、永い侵略の過去の中で、苦痛を受けた「被害者」の立場にたつ思いやりのこころで、歴史教科書の内容を、今一度冷静にみつめてほしいのです。
そして、熊本県内の教科書採択権者である各市町村教育委員会にたいし、県民のみなさまが、教科書採択課程で、おとなりの国である韓国忠清南道々民とともに、アジアと世界平和，共存の未来のために、侵略の過去を美化する教科書が採択されないよう、ともに声をあげてほしいのです。
また、日本政府に、両国地域民間のあつい信頼関係を形成するため、一日も早く、歪曲された内容を訂正するように、ともに訴えていきましょう。
私たちは、教科書問題で、これ以上、韓日地域民衆のこころに溝をつくり、この問題によって、そだちゆく青少年達が不安な未来に生きてゆくことを願っていません。
「平和憲法を活かす熊本県民の会」をはじめとして、私たちの訪問を歓迎してくださった熊本県民のみなさまに感謝を表し、教科書問題が賢明に克服され、両国地域民間の友好関係がより深まることをこころから祈念いたします。
ありがとうございます。カムサハムニダ。
２００１．６．７
日本の歴史教科書要請のための忠清南道熊本訪問団